上島会計事務所便り

名古屋の上島会計事務所から、お客様へのお知らせやスタッフが気がついたことをご案内しています。

2011年10月18日(火)

『原子力発電と今後のエネルギー問題』 [研修報告]

今回の研修は午前中は九州大学名誉教授の佐藤浩之助さんによる
『原子力発電と今後のエネルギー問題』でした。

タイトルからタイムリーにいま大きな社会問題になっている原子力発電事故を取り上げ、
専門家による見解や、あるいは業界の裏話的な話も聞けるのかなと思っていましたが、
実際の内容は原子力発電事故に関わる話ではなく、
原子力発電の仕組みを主とした科学者視点での内容でした。

原子力発電の仕組みということでウラン235に中性子が衝突して、
そこからウラン238が出来て…とか、
アルファ線は紙で止まるが中性子線は鉛さえも透過する等々、
専門的な話が多くあまり皆さんにご紹介できるような内容はありませんでしたが、
一つだけ、興味深かった話をご紹介。

10年、20年ほど前に夢の技術として核融合という技術が
注目を浴びたのを皆さんも覚えておいでだと思います。

当時は既存の原子力発電に続く夢の技術として注目を浴びた技術ですが、
その後、常温核融合なんて実現不可能なんじゃないかということで
いまではカルト的な扱いを受けている技術という印象でした。

しかし先生によると常温核融合はその後も着実に研究が進んでいて、
近々に国際的な実験施設がフランスに建設予定で、
今世紀の半ばにも発電に貢献可能なところまで実用化が進むということでした。

世間では既存の原子力発電でさえ廃止論が取り沙汰されているなか、
科学の世界では超然と研究が進められているということに多少の驚きを感じましたが、
一方では人類の未来的な進歩を考えると扇情的に科学技術を否定するのではなく、
自らの可能性を信じて研究を進めていく姿勢もやはり必要な姿勢なのではないか?

今回の研修は、そんなことを思い起こさせてくれるような内容でした。



そして午後からは甲南大学会計大学院長川崎照行さんによる
「中小企業会計指針をめぐる最新動向」という講演。

中小企業の会計指針とは計算書類の作成にあたって中小企業が拠るべき会計指針で、
これに沿った会計処理を行うことで財務諸表の信頼性が高まり、
金融機関からの融資を保証する信用保証協会の保証率が
0.1%優遇されるといったようなメリットがあります。

しかし従来の中小企業会計指針は大企業向けの会計ルールを多少簡素化しただけのものであり、
会社によっては経理担当さえいないような中小企業にとってはまだまだ適用が難しいものでした。

そのため今回は中小企業がもっと採用しやすいような会計指針に改めるということを主眼に
議論が行われたそうです。

その結果、現在中小企業では主に税務寄りの会計を行っていますが、
今回の改定ではそのことにも配慮し、一部では税務会計も容認するといったような
大幅な歩み寄りが行われるとのことです。


これによって我々税理士事務所としても関与先の皆さんの資金繰りに
よりお力添えをしやすくなっていくものと思いますので、
今回の改定には少なからぬ期待をしていきたいと思います。


Posted by 上島会計 at 19時46分   パーマリンク

2011年09月29日(木)

『個人も会社も成長するワークライフバランス』 [研修報告]

先日TKC主催の研修に行ってきましたので、今回はそのご報告です。

画像(122x180)・拡大画像(129x190)

午前中は東レ経営研究所 佐々木常夫社長による『個人も会社も成長するワークライフバランス』という講演でした。
佐々木さんは東レで取締役を務め、近年の好業績の立役者の一人として活躍されたのち、現在は東レ経営研究所社長を務められている方で、ワークライフバランスをテーマにガイアの夜明けにもご出演されたことのある方です。

講演の冒頭は佐々木さんのご家族の話が中心で、ご長男が自閉症、奥さんが鬱病で自殺未遂を何度もされているという、ショッキングな家庭環境の話でした。
講演のタイトルもワークライフバランスということで、この後も家庭と仕事をどう両立させるか、仕事人間になり過ぎず、適度なバランスを保って幸せな人生を送りましょうというような話になるのかな?と思いながら聞いていたのですが、しかし家族の話は冒頭のショッキングな話だけで、その後の内容は想像していたものとは全く違うものでした。

講演のメインとなる内容は「どのように仕事をしたら効率的か?」というもので、そこだけ聞いていると、そのことと講演のテーマであるワークライフバランスと、何の関係があるの?というような話でしたが、佐々木さんがそのような話をされることの根底には「ワークとライフを両立させるためには仕事の仕方を圧倒的に改善・効率化して、ライフに割くための時間を作り出すことが必要」という確固たる考えがあるからのように思いました。

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仕事の効率化の話については、レジュメからいくつか箇条書きで挙げると
・仕事の計画策定は仕事を半減させる
・仕事の品質基準を決め、過剰品質を排除せよ
・稚拙な創造をするより、過去の成果物を活用せよ
・いかにやらないで済ますかを考えろ
・出ない、会わない、読まない
といったようなものがあり、その冷徹なまでの仕事への効率的な取り組み方は、大変参考になりました。
このあたりの詳しい内容については佐々木さんの著書『部下を定時に帰す仕事術』(発行部数10万部の人気書のようです)に載っているようですので、気になられた方はご一読下さい。

ワークライフバランスというと世間では「ワークもほどほど、ライフもほどほどにしてバランスよくやりましょう」といったように捉えられているように思いますが、佐々木さんの「私はどちらもほどほどなんて言わない。仕事も生活も全力でやってきた」という言葉が非常に印象的な講演でした。



そしてもう一つの講演は森田辰彦弁護士による『租税回避に関する判例の流れ』ですが、こちらは非常に専門的な内容なので、ごく簡単に。
中小企業でよく問題になる同族会社の行為計算否認という規定がありますが、この規定が税法に最初に登場したのは大正12年だそうなのです。当時は「租税回避」と「脱税」が同一視され、合法的な節税行為も脱税と見做されることが多かったのが、現在では「租税回避」は課税要件を満たさないように行われた行為であり、明確な違法行為である「脱税」とは異なるという解釈となっています。
しかし租税回避が合法的であるとはいえ、ケースバイケースで否認されることもあるとのことで、講演ではその判決の推移を見ていきました。

内容としては国内の中小企業だけに関わる話のような気もしますが、租税法律主義(税金は必ず法律に基づかなければならないとする原則です)を掲げながらも、明文規定がないのに課税されることの多い日本の税環境は、外国企業にとって「ビジネスのコスト計算がしにくい国」として、投資をためらう要因の一つになっているとのことで、こんなことがいまの日本経済の低迷の一因にもなっているんだということが、意外な講演内容でした。


Posted by 上島会計 at 13時43分   パーマリンク

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