2012年01月16日(月)
『新・日本型ビジネスモデル 9割をリピーターにする方法』 [研修報告]
今回の研修はフォーデイズ株式会社代表取締役社長 和田佳子さんの
『新・日本型ビジネスモデル 9割をリピーターにする方法』でした。
フォーデイズというのは核酸栄養ドリンクという商品を販売するネットワークビジネスの会社で、
この一つの商品だけを武器に300億円を売り上げているということでした。
今回、『新・日本型ビジネスモデル 9割をリピーターにする方法』ということで、
昨今売上の低迷、減少に苦しんでおられる関与先様のためにも
何かヒントになるような有意義な話が聞けるかと期待しておりましたが、
内容としては「自分が本当にいいと思うものを売るのが大事」ということを
延々繰り返しただけで少々残念な内容でした。
しかしこの極めて当たり前とも思える「自分が本当にいいと思うものを売る」ということが
実際、なかなか出来ていないというのもまた事実のように思います。
皆さんの中にも目先の利益を追うがゆえに、つい納得がいっていないモノ・サービスを
お客様に販売してしまっている方はいらっしゃいませんでしょうか?
それで目先の利益を得ることが出来ても、そのお客様から生涯に渡って
得ることが出来たはずの利益を損なってしまっているかもしれません。
今一度真摯に自社のサービス、お客様と向き合うには
素朴ながら良い思想のように思います。
午後の部は『税理士のための紛争予防税法学−注目最高裁判決を素材に』というテーマで
専修大学法学部教授増田秀敏先生による講義が行われました。
内容としては税務判決の最近のトレンドを解説するというものでした。
租税訴訟というと一昔前はまず間違いなく
納税者側が敗訴するというのが当たり前だったそうなのですが、
昨今では勝率が徐々に上がってきて10%を超えるような勢いだということです。
その背景には昨今の判決が「租税法律主義」を
より重視してきているということがあるとのことでした。
「租税法律主義」というのは税金は法律に基づいて課されなければならず、
法律に記述がないのに課税庁の恣意的な判断で課税をしてはならないという考え方です。
当たり前といえば当たり前なのですが、しかし日本ではこれが当たり前ではなく、
これまでは法律の拡大解釈ともいえるような解釈で納税者側が敗訴してきたわけですが、
これが最近の判決では大きく変わってきたということです。
何故今頃になって「租税法律主義」をより重視するようになってきたのか?
ということについての明確な回答はありませんでしたが、
課税に関して今までよりもより明確な線引きがなされるということで、
納税者側にとっては歓迎すべきトレンドですね。
我々としても法律要件をきちんと押さえた対応の必要性を感じた研修でした。
Posted by 上島会計 at 18時57分 パーマリンク
2011年11月25日(金)
秋季大学2011 レポート3 [研修報告]
次に森下のレポートです。
秋季大学のテーマは「急げ!経営再点検」。ということで、私は「企業経営再点検」というテーマで話し合われたパネルディスカッションを中心にまとめてみました。
パネルディスカッションは、企業、金融機関、会計事務所の3つの視点からの検証ということで、それぞれを代表して1名ずつ参加されていました。
その中で中小企業に必要なことは、会社の現状を知るということ。パネルディスカッションでは、月次の決算書を作成し、現状を知るということが大事だという話でした。
そのための方法として、TKCのシステムを活用するということでした。TKCのシステムを使い、日々の動きを入力していく。そうすることで、わかりやすく現状を把握できるとのこと。
また、それを利用し、会計事務所による月次巡回監査により、月次の決算書を作成する。そうすることで、企業の社長さんは現状を逐次把握することができるということでした。
そして、現状を知ることで次に何をすべきか。未来を予測することです。未来を予測し、会社が今後何をすべきかを考えることが大事だということです。
このような話から、現状を把握し、未来を予測することはとても重要だということがわかります。その方法は、上記のような方法もあるとは思います。しかし、上島会計では、上記のような方法を取らなくても、社長さんとの話を聞くことで現状を把握し、未来を予測する力を身につけることが必要だという話をされました。我々新人にはまだまだそのような力は無いかもしれませんが、いずれはそのような力を身につけ、即座にお客様の力になれるようになりたいものです。
中小企業の社長さんは皆さん、日々の仕事に追われ大変お忙しいこととは思います。そうした中では、このような経営分析を疎かにしてしまうこともあるかもしれません。しかし、この不況の中、中小企業がこれから生き残っていくためには、現状の把握、そして未来を予測し、今後の方針を考えることは大切だと思います。皆さんも、我々、会計事務所職員と共に経営分析をし、この不況を乗り切る未来を考えていきましょう。
Posted by 上島会計 at 23時22分 パーマリンク
秋季大学2011レポート2 [研修報告]
次に小野のレポートです。
私は去年から秋季大学に参加させていただいておりますが、
去年は特別公演があの野村監督だったのに対し、今年は毎日新聞社主筆の方ということで、
若干期待感が低め・・・というのが正直なところでした。
しかし蓋を開けてみると例年通りほぼ満席で、活気のある会合となりました。
午前中は税理士の坂本さんによる基調講演。
坂本さんはこの不況下、日々企業と関わり合い、企業の健康状態を知る税理士だからこそ
出来ることがあるとの信念のもと、
金融庁が提示する金融スキームの中に税理士の役割を盛り込むよう
積極的な働きかけをされているとのことでした。
金融庁の指針に盛り込まれるか盛り込まれないかなど、どうでもいい話なのですが、
しかし企業の健康状態を真っ先に知り得る税理士だからこそ
企業の再生に重要な役割を果たすことが出来るというのは
確かなことだと思います。
私自身もそういった企業の手助けが出来るのがやりがいと思い入所したのですが、
今はまだ自身の知識不足、経験不足、また関与先の信頼を得ることが出来ていないことで、
お力になれていないことを歯がゆく感じている次第です。
今後皆様のお力になれるよう、少しでも早く力を付けられるよう、
精進していきたいと心を新たにしました。
午後はサンデーモーニングにも出演されている毎日新聞社主筆の岸井さんという方の講演でした。
内容の方は政治、経済、社会、様々な分野に渡り種々雑多な内容でしたが、
新聞社主筆の方ということで政治や経済のオフレコの裏話が聞けるかと期待していたものの、
そういった内容は一切なく、ちょっと拍子抜けでした。
ただ、そんななか印象に残っているのは今話題のTPPについて、
私などはどちらかというとアメリカから「参加しないと貿易上不利になるぞ」と脅されて
半ば強制的に参加させられるような印象でいましたが、
そもそもの経緯としては中国の脅威に対抗するために
東南アジア諸国が連携して始めたのがTPPの始まりであり、
今頃になって日本が参加するだのしないだのと言い始めたことで
逆に混乱を招いているということでした。
実際、講演を聞いた後のニュースでも日本のTPP参加を求めているかと思っていたアメリカでは
自動車業界団体などから日本のTPP参加に反対する声が上がり、
TPP参加に積極的だった韓国でも国内で強い反対運動が巻き起こっており、
TPPに参加しなければ国際社会の信任を得られないだとか、
韓国に追い抜かれるだとか、まことしやかに喧伝される話が、
いかに眉唾なものかという思いがますます強くなった次第です。
政治、経済はある瞬間だけを捉えて是々非々を語るのではなく、
歴史的な経緯も重要なんだということを改めて感じました。
(歴史的な経緯を重視しすぎるために改革が進まないという現実も大いにありますが)
今年は特別公演が固い内容ということもあってか皆様にあまりご参加いただけませんでしたが、
無料でご参加いただけますので、来年は是非とも皆様ご参加ください。
Posted by 上島会計 at 19時17分 パーマリンク
『秋季大学2011』 [研修報告]
毎年恒例のTKC秋季大学が開催されました。
今回は前半は会社法・商法改正審議に参考人として招致された経験も持つ
TKC全国会中央研修所所長坂本孝司さんによる基調講演「TKC全国会の方向性とTKC会員の役割」と、
午後は「大震災と混迷政治の行方」をテーマにサンデーモーニングなどにも出演されている
毎日新聞社主筆岸井成格さんによる講演が行われました。
これを受けて上島会計事務所の新人3人がレポートを書きましたので、ご紹介させていただきます。
まずは先日10月に入社したばかりの森川のレポートです。
1、新しい中小会計指針の策定と中小企業の現状
現在法人税を払っている会社は、全国の約260万社の中小企業のうちおよそ25%である。
逆に言えば、黒字企業はたった25%しかないと言うことになる。
今日本を取り巻く厳しい経済環境に、多くの中小企業は悲鳴を上げている。
中小企業がこの状況を打破し乗り越えていくために必要なものとは何だろうか。
このような中で中小企業は、税務申告用の決算書の作成や金融機関融資のための
試算表を作成しているが、そもそも何のための会計基準なのだろうか。
平成21年9月、金融庁は現在の経済金融情勢において、特に厳しい状況にある中小企業の事業主を支援するため、
「中小企業金融円滑化法」を公表した。
しかし経営改善支援などの中小企業の取り組みは不十分とされ、事業の改善が見られない企業に対して
支援をうちきるなど、監督指針の一部改正が行われた。
このような中、今、経営者に自立的経営が求められている。
2、金融と経営支援の一体的推進
中小企業の経営改善にあたって重要なことは?事業そのものを活性させる支援機関と支援人財?正しい財務である。
商工会議所や税理士などの支援機関が、地域金融機関と協力しながら、
知識・財務面共に経営者をサポートしていくことが大切である。
顧客企業へ「月次巡回監査」を徹底することにより、企業経営のアドバイスや最新の情報提供、
正確な会計へとつながる。
月次巡回監査を行い、信頼できる決算書を作ることが、銀行と会社の信頼関係も作り、スムーズな融資を実現できる。
社会環境が大きく変化している中、原点に戻り、身近な中小企業のビジネスドクターになれるよう、
しっかりとした経営をもとに変化に対応していくこと、そして、毎月の積み重ねにより経営計画を支え、
信頼関係を未来経営へとつないでいくことが大切である。
3、まとめ(感想)
今回の講演を拝聴させて頂き、経営資料を正確に作成して読み取ることの大切さを、改めて感じることが出来ました。
多くの中小企業と身近に接することができる私達は、その経験や知識を大切にして、
少しでもその改善の手助けをしていくことが社会的にも求められる責務だと思います。
今年10月に上島会計事務所に入所しました。
今後ともご指導のほど、宜しくお願い申し上げます。
Posted by 上島会計 at 16時46分 パーマリンク
2011年10月18日(火)
『原子力発電と今後のエネルギー問題』 [研修報告]
今回の研修は午前中は九州大学名誉教授の佐藤浩之助さんによる
『原子力発電と今後のエネルギー問題』でした。
タイトルからタイムリーにいま大きな社会問題になっている原子力発電事故を取り上げ、
専門家による見解や、あるいは業界の裏話的な話も聞けるのかなと思っていましたが、
実際の内容は原子力発電事故に関わる話ではなく、
原子力発電の仕組みを主とした科学者視点での内容でした。
原子力発電の仕組みということでウラン235に中性子が衝突して、
そこからウラン238が出来て…とか、
アルファ線は紙で止まるが中性子線は鉛さえも透過する等々、
専門的な話が多くあまり皆さんにご紹介できるような内容はありませんでしたが、
一つだけ、興味深かった話をご紹介。
10年、20年ほど前に夢の技術として核融合という技術が
注目を浴びたのを皆さんも覚えておいでだと思います。
当時は既存の原子力発電に続く夢の技術として注目を浴びた技術ですが、
その後、常温核融合なんて実現不可能なんじゃないかということで
いまではカルト的な扱いを受けている技術という印象でした。
しかし先生によると常温核融合はその後も着実に研究が進んでいて、
近々に国際的な実験施設がフランスに建設予定で、
今世紀の半ばにも発電に貢献可能なところまで実用化が進むということでした。
世間では既存の原子力発電でさえ廃止論が取り沙汰されているなか、
科学の世界では超然と研究が進められているということに多少の驚きを感じましたが、
一方では人類の未来的な進歩を考えると扇情的に科学技術を否定するのではなく、
自らの可能性を信じて研究を進めていく姿勢もやはり必要な姿勢なのではないか?
今回の研修は、そんなことを思い起こさせてくれるような内容でした。
そして午後からは甲南大学会計大学院長川崎照行さんによる
「中小企業会計指針をめぐる最新動向」という講演。
中小企業の会計指針とは計算書類の作成にあたって中小企業が拠るべき会計指針で、
これに沿った会計処理を行うことで財務諸表の信頼性が高まり、
金融機関からの融資を保証する信用保証協会の保証率が
0.1%優遇されるといったようなメリットがあります。
しかし従来の中小企業会計指針は大企業向けの会計ルールを多少簡素化しただけのものであり、
会社によっては経理担当さえいないような中小企業にとってはまだまだ適用が難しいものでした。
そのため今回は中小企業がもっと採用しやすいような会計指針に改めるということを主眼に
議論が行われたそうです。
その結果、現在中小企業では主に税務寄りの会計を行っていますが、
今回の改定ではそのことにも配慮し、一部では税務会計も容認するといったような
大幅な歩み寄りが行われるとのことです。
これによって我々税理士事務所としても関与先の皆さんの資金繰りに
よりお力添えをしやすくなっていくものと思いますので、
今回の改定には少なからぬ期待をしていきたいと思います。
Posted by 上島会計 at 19時46分 パーマリンク
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