2012年01月16日(月)
劣後ローン獲得事例 [税務お役立ち]
先般、上島会計事務所の顧問先が劣後ローンという
ちょっと変わった融資を獲得されましたので、そのご紹介です。
劣後ローンを獲得されたのは株式会社大弘さんという会社さんで、
今年の2月でまだ設立2年という非常に若い会社さんなのですが、
省エネタイプのIH保温炉を開発し、愛知環境賞金賞を
受賞するという快挙を達成された会社さんです。
劣後ローンという名前はあまり聞きなれない方も多いかと思いますが、
基本的には金融機関からの借入ということに違いはありません。
ただ債権としての扱いが少し変わっていることからこのような名前がついています。
通常、会社が倒産したりしたときに金融機関などの債権者は
その債権額に比例して残余財産の分配を受けることが出来ますが、
劣後ローンはこの残余財産の分配において他の債権者への分配が行われた後に、
まだ財産が残っていれば分配を受けられるという
他の債権者よりも劣った(劣後する)債権であることから
劣後ローンという名前がついています。
ただ、これは金融機関側の話で、借りている側としてはどのような違いがあるのか?
その特徴をいくつか列挙していきましょう。
(あくまで今回獲得した劣後ローンの特徴であって、
全ての劣後ローンに共通する特徴でないものもあります)
■借入でありながら資本金として扱われる
これが劣後ローン最大のメリットです。
劣後ローンは金融庁の金融検査マニュアルにおいて
その会社の査定を行う際に資本金とみなすことができるとなっています。
実際は借入金なのに、査定の時にはこの分を資本金とみなしてくれるということです。
借入金ではなく資本金とみなしてくれるということは、
他の金融機関に融資を申し込んだりする際により融資を受けやすい
ということになり、大きなメリットとなります。
■毎月の返済ではなく長期間据え置きののち一括返済
通常の借入金は毎月一定額を返済していきますが、
劣後ローンにおいては毎月の支払はその金利だけであり、
元本については長期間(10年超)据え置いたのち、一括で返済となっています。
■金利は少し高め
長期間据え置くこともあり金利は高めに設定されています。
■金融機関の積極的な経営支援が期待できる
具体的な内容についてはまだ分かりませんが、取引先の紹介等、
様々な経営支援をして下さるとのことです。
このように劣後ローンを「資本金とみなしなさい」というからには、
実際に資本金のように長期安定的に使えるようになっており、
また貸し出した金融機関も株主かのように積極的にその会社を支援していくことが
期待される貸出ということです。
(もちろん実際に株主のように経営に口出しをすることはできませんが)
今回このような特殊な融資を受けられたのは愛知環境賞金賞受賞という実績による
面が大きいと思いますが、このような具体的な賞でなくても
積極的支援に値するだけの取り組みをしていらっしゃる
企業であれば劣後ローンを受けられる可能性もありますので、
是非、こんな融資もご検討されてみてはいかがでしょうか?
Posted by 上島会計 at 20時06分