2011年10月03日(月)
『下町ロケット』 [お薦めの一冊]
今月の「お薦めの一冊」は第145回直木賞受賞作品『下町ロケット』(著者:池井戸 潤、出版社:小学館)です。
取引先大企業「来月末までで取引終了にしてくれ」
メインバンク「そもそも会社の存続が無理」
ライバル大手企業「特許侵害で訴えたら…どれだけ耐えられる?」
帝国重工「子会社にしてしまえば技術も特許も自由に使える」
佃製作所はまさに崖っぷち。
なさそうでありそうなこの設定。実話かもと思わされるほどのリアル感。
夢を終える、現実感のあるエンターテインメント作品に仕上がっています。
Posted by 上島会計 at 17時24分 パーマリンク
2011年09月29日(木)
『個人も会社も成長するワークライフバランス』 [研修報告]
先日TKC主催の研修に行ってきましたので、今回はそのご報告です。
午前中は東レ経営研究所 佐々木常夫社長による『個人も会社も成長するワークライフバランス』という講演でした。
佐々木さんは東レで取締役を務め、近年の好業績の立役者の一人として活躍されたのち、現在は東レ経営研究所社長を務められている方で、ワークライフバランスをテーマにガイアの夜明けにもご出演されたことのある方です。
講演の冒頭は佐々木さんのご家族の話が中心で、ご長男が自閉症、奥さんが鬱病で自殺未遂を何度もされているという、ショッキングな家庭環境の話でした。
講演のタイトルもワークライフバランスということで、この後も家庭と仕事をどう両立させるか、仕事人間になり過ぎず、適度なバランスを保って幸せな人生を送りましょうというような話になるのかな?と思いながら聞いていたのですが、しかし家族の話は冒頭のショッキングな話だけで、その後の内容は想像していたものとは全く違うものでした。
講演のメインとなる内容は「どのように仕事をしたら効率的か?」というもので、そこだけ聞いていると、そのことと講演のテーマであるワークライフバランスと、何の関係があるの?というような話でしたが、佐々木さんがそのような話をされることの根底には「ワークとライフを両立させるためには仕事の仕方を圧倒的に改善・効率化して、ライフに割くための時間を作り出すことが必要」という確固たる考えがあるからのように思いました。
仕事の効率化の話については、レジュメからいくつか箇条書きで挙げると
・仕事の計画策定は仕事を半減させる
・仕事の品質基準を決め、過剰品質を排除せよ
・稚拙な創造をするより、過去の成果物を活用せよ
・いかにやらないで済ますかを考えろ
・出ない、会わない、読まない
といったようなものがあり、その冷徹なまでの仕事への効率的な取り組み方は、大変参考になりました。
このあたりの詳しい内容については佐々木さんの著書『部下を定時に帰す仕事術』(発行部数10万部の人気書のようです)に載っているようですので、気になられた方はご一読下さい。
ワークライフバランスというと世間では「ワークもほどほど、ライフもほどほどにしてバランスよくやりましょう」といったように捉えられているように思いますが、佐々木さんの「私はどちらもほどほどなんて言わない。仕事も生活も全力でやってきた」という言葉が非常に印象的な講演でした。
そしてもう一つの講演は森田辰彦弁護士による『租税回避に関する判例の流れ』ですが、こちらは非常に専門的な内容なので、ごく簡単に。
中小企業でよく問題になる同族会社の行為計算否認という規定がありますが、この規定が税法に最初に登場したのは大正12年だそうなのです。当時は「租税回避」と「脱税」が同一視され、合法的な節税行為も脱税と見做されることが多かったのが、現在では「租税回避」は課税要件を満たさないように行われた行為であり、明確な違法行為である「脱税」とは異なるという解釈となっています。
しかし租税回避が合法的であるとはいえ、ケースバイケースで否認されることもあるとのことで、講演ではその判決の推移を見ていきました。
内容としては国内の中小企業だけに関わる話のような気もしますが、租税法律主義(税金は必ず法律に基づかなければならないとする原則です)を掲げながらも、明文規定がないのに課税されることの多い日本の税環境は、外国企業にとって「ビジネスのコスト計算がしにくい国」として、投資をためらう要因の一つになっているとのことで、こんなことがいまの日本経済の低迷の一因にもなっているんだということが、意外な講演内容でした。
Posted by 上島会計 at 13時43分 パーマリンク
2011年09月28日(水)
22年度産業別経営動向 [スタッフ便り]
上島会計では税務会計システム最大手のTKCのシステムを利用していますが、
TKCでは申告データをもとに経営指標の統計を取っており、
これを「BAST(バスト)」(Business Analyses & Statistics By TKC)と呼んでいます。
(社を特定できるような情報は一切含まれていません)
BASTは標本数は20万社超と国内最大の企業統計となっており、毎年1度発行されます。
BASTは1月から12月を1つの年度としていますので、
23年度版は平成22年の1〜12月のデータをもとにしたものとなります。
平成23年に入ってから、大震災の発生や欧州の経済危機等、大きな変化が起きており、
直接的に参考にはなりませんが、簡単にご紹介したいと思います。
まず21〜22年への移り変わりという点では
21年度はリーマンショックの影響が最も大きかった年であり、
売上高や利益率などあらゆる指標が大幅に悪化しました。
なかでもとりわけ大きく悪化したのはやはり製造業です。
製造業では20年度以前、経常利益率が3%前後あったものが、
21年度には全企業平均でマイナスにまで落ち込んでしまいました。
産業 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 |
---|---|---|---|---|
全産業 | 1.8 | 1.5 | 0.5 | 1.0 |
建設業 | 1.0 | 0.7 | △0.1 | 0.1 |
製造業 | 3.1 | 2.6 | △0.3 | 1.3 |
卸売業 | 1.3 | 1.2 | 0.6 | 0.8 |
卸売業 | 1.3 | 1.2 | 0.6 | 0.8 |
小売業 | 0.5 | 0.4 | 0.4 | 0.5 |
宿泊・飲食 | 0.2 | △0.2 | △0.6 | △0.6 |
サービス業 | 2.4 | 2.0 | 1.2 | 1.5 |
東海地方は製造業が多いこともあり、地域別でみると平成21年から平成22年にかけての
黒字企業割合は東海地方の落ち込みが最も大きくなっています。
平成22年には若干改善するものの、リーマンショック前の水準にはほど遠い状況です。
地域 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 |
---|---|---|---|---|
北海道 | 50.3 | 48.7 | 47.4 | 50.1 |
東北 | 51.4 | 48.7 | 43.5 | 45.4 |
関東 | 45.8 | 44.2 | 37.6 | 38.7 |
東海・北陸 | 48.2 | 45.9 | 37.0 | 38.2 |
近畿 | 50.8 | 48.8 | 42.9 | 44.3 |
中国・四国 | 46.3 | 44.4 | 39.9 | 41.4 |
九州 | 52.0 | 49.4 | 46.3 | 47.3 |
そしてその後、平成23年には本来であればには更なる改善が期待されたところだったのですが、
大震災の影響で多くの企業が再び苦境に立たされる状況となりました。
下半期に関しては地震の影響による落ち込みを補うべく自動車各社、増産体制を取るとのことで、
今後の回復が期待されますが、欧州不安や中国の減速懸念等もあり、
厳しい経済環境は今後も続くと思われます。
しかしこんな時だからこそ「頑張ろう東海!」「東海の底力」で
日本の真ん中から日本を盛り上げていきましょう!
Posted by 上島会計 at 09時31分 パーマリンク
2011年09月09日(金)
秋季大学2011開催のご案内 [税経会からのお知らせ]
今年もやってまいりましたTKC中部会主催の研修会『秋季大学2011』。
昨年は野村監督による特別講演など興味深いコンテンツ盛りだくさんで大変盛り上がりました。
今年はサンデーモーニングコメンテーターなどでおなじみ、
毎日新聞社主筆の岸井成格さんの特別講演をメインに、
「企業経営再点検」「会計で会社を強くする」といった
コンテンツが行われます。
参加費5,000円のところ、上島会計の関与先様は参加費無料となっておりますので、
ぜひ皆様ご参加ください!
参加ご希望の方は上島会計担当者まで!
【開催概要】
日時:平成23年11月8日(火)13:30〜17:15(13:00受付開始)
会場:ウェスティンナゴヤキャッスル
参加費:無料
Posted by 上島会計 at 16時41分 パーマリンク
2011年09月05日(月)
『最強マフィアの仕事術』 [お薦めの一冊]
今月のおすすめの一冊は『最強マフィアの仕事術』です。
(著者:マイケル・フランゼーゼ、出版社:ディスカバー・トゥエンティワン)
著者のマイケル・フランゼーゼは1986年当時、
五大マフィアのひとつコロンボファミリーの幹部であり、
週600〜800万ドル稼ぎ出して、
アル・カポネの再来と言われていた。
著者が実践したマフィア時代の10の仕事術は
実社会でも通用するものである
「どんな顧客に対しても真摯な態度で対応しろ」
「ビジネスに秘密の方程式など存在しない」
「失敗はいつか成功するためのものだ」
など現代社会の教訓として必要に応じて読むのも良いのではないでしょうか。
Posted by 上島会計 at 15時41分 パーマリンク
【 過去の記事へ 】