上島会計事務所便り

名古屋の上島会計事務所から、お客様へのお知らせやスタッフが気がついたことをご案内しています。

2011年10月18日(火)

『上島会計 東北旅行記 第1班』 [スタッフ便り]

震災の影響を肌で感じ、そしてお金を落として少しでも東北を支援しよう!ということで事務所では急遽東北旅行が企画されました。
2つの班に分かれて行ってきましたので、今回は第1班のご報告です。

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奥に見えるのが金色堂がある建物

初日は名古屋から新幹線で仙台へ向かい、仙台からレンタカーで世界遺産に登録されたばかりの平泉中尊寺金色堂へ行ってきました。
平泉は源義経ゆかりの地で、お寺の多くは平安〜鎌倉時代に建造されたんだそうです。

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以前金色堂の中心にあった柱だそうです

お寺が集まる観光地というのは日本各地にありますが、
平泉の建造物の多くは再建されたものではなく当時のままの姿で残っていて、また東北の山間にある土地ということもあって観光地然とした華やかさがなく、原始的な日本の信仰の地という雰囲気でさすが世界遺産という感じでした。

初日の夜は花巻温泉に泊まりましたが、とても大きなホテルにもかかわらず満室状態とのことで、我々と同じように東北を応援しよう!という方が多かったのかな?とちょっと嬉しくなりました。

2日目は今回の一番の目的でもある被災地視察。

車で沿岸部に向かったのですが、道中は屋根にブルーシートをのせた家や、
壁がはがれた家が散見されたものの、映像で見たような被害は見られず
「この辺りは思ったよりも被害がなかったのかな?」と思いながら見ていたのですが、
いざ沿岸部まで来てみると、そこにはやはり凄まじい被害の跡がありました。

テレビなどでは瓦礫の撤去は8割方終わって復興に向けての動きが
始まっているといったような報道がなされますが、
いざ現地を見てみると沿道にはそこかしこに1階がぐちゃぐちゃ、2階も窓が割れ、
とても人が住めるとは思えない状態の家屋が残されており、
復興どころか依然撤去を要する建物が多数取り残された状態でした。

印象的だったのはお店や家屋が津波でなくなり、人が住める街ではなくなってしまったため、
沿道に人通りが全くなく、街がゴーストタウンと化していたことです。

人気のない街で重機だけが砂ぼこりを上げて動いており、
奇妙な喧騒が響いていました。

テレビを見ていただけでは徐々に以前の状態に戻りつつあるくらいに思っていたのが、
こうして実際に見てみるとこの状態から被災前の活気を取り戻すことが可能なのか?
と思えるほどの状態で、今回、そうしたことを肌で感じることができ、
東北旅行にきた意味があったなと思うと同時に、今後もまだまだ国民全体での支援が必要で、
我々自身も少しでも手助けになるようなことが出来ればと思った次第です。

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この脇を走り抜けていきました

ちなみに被災地では写真を撮りたかったのですが、被災地で写真をぱちぱち撮るのも憚られたので、転載となりますが被災地の写真を。私たちが通った時には道路上の瓦礫は撤去されていましたが、この缶詰は依然中央分離帯に残されたままでした。

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牛タン発祥の店『太助』の牛タン

その後は松島でご飯を食べて軽く観光をした後、夕方に仙台へ。
我々が訪れた時には仙台はちょうど『よさこい祭り』の最中ということもあって、
仙台の夜の街は人で溢れかえっており、昼に見た震災被害を忘れさせるほどの熱気に包まれていました。
そんな中、みんなで仙台名物の牛タンを食べた後は、各自思い思いに仙台の夜を満喫し、東北経済に大いに貢献してまいりました。

そして最終日も各自自由行動で、仙台周辺を散策した後、
最後も東北支援のためにお土産を山ほど購入して、帰路に向かいました。

そんなこんなで今回の旅行では被災地がまだまだ支援を要する状態だということ、
しかしそれでも東北の人々はくじけず元気に頑張っていることが確認できた、
有意義な旅となりました。

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よさこい祭り

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塩釜神社

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伊達政宗像


Posted by 上島会計 at 20時30分   パーマリンク

『原子力発電と今後のエネルギー問題』 [研修報告]

今回の研修は午前中は九州大学名誉教授の佐藤浩之助さんによる
『原子力発電と今後のエネルギー問題』でした。

タイトルからタイムリーにいま大きな社会問題になっている原子力発電事故を取り上げ、
専門家による見解や、あるいは業界の裏話的な話も聞けるのかなと思っていましたが、
実際の内容は原子力発電事故に関わる話ではなく、
原子力発電の仕組みを主とした科学者視点での内容でした。

原子力発電の仕組みということでウラン235に中性子が衝突して、
そこからウラン238が出来て…とか、
アルファ線は紙で止まるが中性子線は鉛さえも透過する等々、
専門的な話が多くあまり皆さんにご紹介できるような内容はありませんでしたが、
一つだけ、興味深かった話をご紹介。

10年、20年ほど前に夢の技術として核融合という技術が
注目を浴びたのを皆さんも覚えておいでだと思います。

当時は既存の原子力発電に続く夢の技術として注目を浴びた技術ですが、
その後、常温核融合なんて実現不可能なんじゃないかということで
いまではカルト的な扱いを受けている技術という印象でした。

しかし先生によると常温核融合はその後も着実に研究が進んでいて、
近々に国際的な実験施設がフランスに建設予定で、
今世紀の半ばにも発電に貢献可能なところまで実用化が進むということでした。

世間では既存の原子力発電でさえ廃止論が取り沙汰されているなか、
科学の世界では超然と研究が進められているということに多少の驚きを感じましたが、
一方では人類の未来的な進歩を考えると扇情的に科学技術を否定するのではなく、
自らの可能性を信じて研究を進めていく姿勢もやはり必要な姿勢なのではないか?

今回の研修は、そんなことを思い起こさせてくれるような内容でした。



そして午後からは甲南大学会計大学院長川崎照行さんによる
「中小企業会計指針をめぐる最新動向」という講演。

中小企業の会計指針とは計算書類の作成にあたって中小企業が拠るべき会計指針で、
これに沿った会計処理を行うことで財務諸表の信頼性が高まり、
金融機関からの融資を保証する信用保証協会の保証率が
0.1%優遇されるといったようなメリットがあります。

しかし従来の中小企業会計指針は大企業向けの会計ルールを多少簡素化しただけのものであり、
会社によっては経理担当さえいないような中小企業にとってはまだまだ適用が難しいものでした。

そのため今回は中小企業がもっと採用しやすいような会計指針に改めるということを主眼に
議論が行われたそうです。

その結果、現在中小企業では主に税務寄りの会計を行っていますが、
今回の改定ではそのことにも配慮し、一部では税務会計も容認するといったような
大幅な歩み寄りが行われるとのことです。


これによって我々税理士事務所としても関与先の皆さんの資金繰りに
よりお力添えをしやすくなっていくものと思いますので、
今回の改定には少なからぬ期待をしていきたいと思います。


Posted by 上島会計 at 19時46分   パーマリンク

2011年10月03日(月)

『下町ロケット』 [お薦めの一冊]

今月の「お薦めの一冊」は第145回直木賞受賞作品『下町ロケット』(著者:池井戸 潤、出版社:小学館)です。

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取引先大企業「来月末までで取引終了にしてくれ」

メインバンク「そもそも会社の存続が無理」

ライバル大手企業「特許侵害で訴えたら…どれだけ耐えられる?」

帝国重工「子会社にしてしまえば技術も特許も自由に使える」


佃製作所はまさに崖っぷち。
なさそうでありそうなこの設定。実話かもと思わされるほどのリアル感。
夢を終える、現実感のあるエンターテインメント作品に仕上がっています。




Posted by 上島会計 at 17時24分   パーマリンク

2011年09月29日(木)

『個人も会社も成長するワークライフバランス』 [研修報告]

先日TKC主催の研修に行ってきましたので、今回はそのご報告です。

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午前中は東レ経営研究所 佐々木常夫社長による『個人も会社も成長するワークライフバランス』という講演でした。
佐々木さんは東レで取締役を務め、近年の好業績の立役者の一人として活躍されたのち、現在は東レ経営研究所社長を務められている方で、ワークライフバランスをテーマにガイアの夜明けにもご出演されたことのある方です。

講演の冒頭は佐々木さんのご家族の話が中心で、ご長男が自閉症、奥さんが鬱病で自殺未遂を何度もされているという、ショッキングな家庭環境の話でした。
講演のタイトルもワークライフバランスということで、この後も家庭と仕事をどう両立させるか、仕事人間になり過ぎず、適度なバランスを保って幸せな人生を送りましょうというような話になるのかな?と思いながら聞いていたのですが、しかし家族の話は冒頭のショッキングな話だけで、その後の内容は想像していたものとは全く違うものでした。

講演のメインとなる内容は「どのように仕事をしたら効率的か?」というもので、そこだけ聞いていると、そのことと講演のテーマであるワークライフバランスと、何の関係があるの?というような話でしたが、佐々木さんがそのような話をされることの根底には「ワークとライフを両立させるためには仕事の仕方を圧倒的に改善・効率化して、ライフに割くための時間を作り出すことが必要」という確固たる考えがあるからのように思いました。

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仕事の効率化の話については、レジュメからいくつか箇条書きで挙げると
・仕事の計画策定は仕事を半減させる
・仕事の品質基準を決め、過剰品質を排除せよ
・稚拙な創造をするより、過去の成果物を活用せよ
・いかにやらないで済ますかを考えろ
・出ない、会わない、読まない
といったようなものがあり、その冷徹なまでの仕事への効率的な取り組み方は、大変参考になりました。
このあたりの詳しい内容については佐々木さんの著書『部下を定時に帰す仕事術』(発行部数10万部の人気書のようです)に載っているようですので、気になられた方はご一読下さい。

ワークライフバランスというと世間では「ワークもほどほど、ライフもほどほどにしてバランスよくやりましょう」といったように捉えられているように思いますが、佐々木さんの「私はどちらもほどほどなんて言わない。仕事も生活も全力でやってきた」という言葉が非常に印象的な講演でした。



そしてもう一つの講演は森田辰彦弁護士による『租税回避に関する判例の流れ』ですが、こちらは非常に専門的な内容なので、ごく簡単に。
中小企業でよく問題になる同族会社の行為計算否認という規定がありますが、この規定が税法に最初に登場したのは大正12年だそうなのです。当時は「租税回避」と「脱税」が同一視され、合法的な節税行為も脱税と見做されることが多かったのが、現在では「租税回避」は課税要件を満たさないように行われた行為であり、明確な違法行為である「脱税」とは異なるという解釈となっています。
しかし租税回避が合法的であるとはいえ、ケースバイケースで否認されることもあるとのことで、講演ではその判決の推移を見ていきました。

内容としては国内の中小企業だけに関わる話のような気もしますが、租税法律主義(税金は必ず法律に基づかなければならないとする原則です)を掲げながらも、明文規定がないのに課税されることの多い日本の税環境は、外国企業にとって「ビジネスのコスト計算がしにくい国」として、投資をためらう要因の一つになっているとのことで、こんなことがいまの日本経済の低迷の一因にもなっているんだということが、意外な講演内容でした。


Posted by 上島会計 at 13時43分   パーマリンク

2011年09月28日(水)

22年度産業別経営動向 [スタッフ便り]

上島会計では税務会計システム最大手のTKCのシステムを利用していますが、
TKCでは申告データをもとに経営指標の統計を取っており、
これを「BAST(バスト)」(Business Analyses & Statistics By TKC)と呼んでいます。
(社を特定できるような情報は一切含まれていません)
BASTは標本数は20万社超と国内最大の企業統計となっており、毎年1度発行されます。
BASTは1月から12月を1つの年度としていますので、
23年度版は平成22年の1〜12月のデータをもとにしたものとなります。
平成23年に入ってから、大震災の発生や欧州の経済危機等、大きな変化が起きており、
直接的に参考にはなりませんが、簡単にご紹介したいと思います。

まず21〜22年への移り変わりという点では
21年度はリーマンショックの影響が最も大きかった年であり、
売上高や利益率などあらゆる指標が大幅に悪化しました。
なかでもとりわけ大きく悪化したのはやはり製造業です。
製造業では20年度以前、経常利益率が3%前後あったものが、
21年度には全企業平均でマイナスにまで落ち込んでしまいました。

【産業別売上高経常利益率の推移(%)】
産業 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年
全産業 1.8 1.5 0.5 1.0
建設業 1.0 0.7 △0.1 0.1
製造業 3.1 2.6 △0.3 1.3
卸売業 1.3 1.2 0.6 0.8
卸売業 1.3 1.2 0.6 0.8
小売業 0.5 0.4 0.4 0.5
宿泊・飲食 0.2 △0.2 △0.6 △0.6
サービス業 2.4 2.0 1.2 1.5

東海地方は製造業が多いこともあり、地域別でみると平成21年から平成22年にかけての
黒字企業割合は東海地方の落ち込みが最も大きくなっています。
平成22年には若干改善するものの、リーマンショック前の水準にはほど遠い状況です。

【地域別黒字企業割合の推移(%)】
地域 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年
北海道 50.3 48.7 47.4 50.1
東北 51.4 48.7 43.5 45.4
関東 45.8 44.2 37.6 38.7
東海・北陸 48.2 45.9 37.0 38.2
近畿 50.8 48.8 42.9 44.3
中国・四国 46.3 44.4 39.9 41.4
九州 52.0 49.4 46.3 47.3

そしてその後、平成23年には本来であればには更なる改善が期待されたところだったのですが、
大震災の影響で多くの企業が再び苦境に立たされる状況となりました。

下半期に関しては地震の影響による落ち込みを補うべく自動車各社、増産体制を取るとのことで、
今後の回復が期待されますが、欧州不安や中国の減速懸念等もあり、
厳しい経済環境は今後も続くと思われます。

しかしこんな時だからこそ「頑張ろう東海!」「東海の底力」で
日本の真ん中から日本を盛り上げていきましょう!

Posted by 上島会計 at 09時31分   パーマリンク

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